2013.03.29更新


人生は腸で決まる?

その言葉に思わず、ドキっとされた方も多いと思います。実は私たちの健康と腸内の環境は本当に深くつながっているのです。特に近年、腸の免疫機能が注目されています。というのも腸管に体の中で最も重要で最も大きな免疫器官があるからです。



腸は、毎日の食べ物や飲み物などを栄養を吸収してくれる大切な場所です。吸収された栄養は、その人の血液の質や体質を決定するようになります。つまり、人の生命維持にかかわる最も大切な器官なのす。また、腸は体の内側にある器官でありながら、外界と直接接しているという特徴があります。というのも、腸は体に必要な栄養素だけを吸収し、細菌やウイルスなど害のあるものは排除するという体を守る役割も果たさなくてはなりません。

一般的に腸の粘膜のヒダが健康なピンク色で、ポリープや宿便がない人は、肌にもハリがあり、若々しく、健康な場合が多いようです。逆に腸がかたく、狭く、便の停滞がある人は見た目も年齢よりも老けて見え、 実際にも生活習慣病を抱えている場合が多いということも納得できると思います。では、腸と免疫の関係をもう少し深く調べて見ましょう。

腸の役割ってそもそもナニ?


腸は「第二の脳」と呼ばれます。腸内に入ってきた物質を良いか悪いかを判断する以外に、それをパターン化して記憶する仕組みのほか、実は脳内の神経伝達物質「セロトニン」の95%が腸で作られているという報告もあります。またさまざまなホルモン(ペプチド性ホルモン=脳内ペプチド)を生産し、多くの血管や神経が集まっている腸の状態は全身に影響します。皆様も経験があると思いますが、子供のころ試験前や発表会などの前に緊張のあまり、急な腹痛や下痢に襲われたりしたことが。このように頭で考えることと腸の活動は密接につながっているのです。つまり腸が「第二の脳」と呼ばれる理由になるのです。

さてそこで、皆さんは我々日本人と欧米人との間で腸の長さに違いがあることご存知ですか?個人差はあるものの、日本人の大腸の長さが約1.5m、欧米人で約1m。そう、我々の方が1.5倍も長いのです。  昔から欧米人は、肉中心の脂肪分が多い食事でしたが、日本人は野菜や穀物中心の繊維が多い食事だったことに関係があるといわれています。



 腸は、栄養分を吸収する小腸と水分を吸収する大腸の2つに分かれます。小腸は、約6m。内側は、縦毛(じゅうもう)とよばれる無数のヒダに覆われそこから栄養分を吸収し毛細血管を通じてその栄養素を全身へ送る役目をもっています。  大腸は、約1.5m。小腸で吸収仕切れなかった食べ物のカスや水分が吸収され最終的に便となり排泄されます。 便秘などで排泄がたまると食べ物に含まる添加物などの影響で、腸内の腐敗が進みます。これが大腸の粘膜に接し続けるとがんなど様々な病気の原因になるといわれています。
 便は通常7,8割が水分、残り2,3割が食物繊維や消化されなかった食物や腸内細菌などの死骸などが含まれています。 理想的な便は色が黄土色~こげ茶色でバナナのような形と熟した際の硬さを持ったものが良いといわれています。

 食物繊維が多く含まれている野菜類や海草、きのこ類などなどが、ある程度消化されないでカサとなって出てくることで良い便となり、スムーズな排泄が出来るのです。
 逆に悪い便は、2種類あります。1つは水分90%以上の下痢状の便です。もうひとつはコロコロ丸くて硬い便です。これは、水分が50%以下でもっとも悪い便です。

 最悪の理由は、本来、排出すべき便を長時間、腸内に留めている結果、水分が減少し、硬くなるからです。  普段から肉食が多い人はこの2つのタイプの便になることが多いようです。最近、便秘をする人が非常に増えています。特に女性は悩みが深く、子供も増加傾向にあります。 このままでは腸の健康がどんどん損なわれてしまう危険があります。

では、なぜ便秘になるのでしょうか?便秘には多くの原因がありますが、まず見直すべきは、食事の内容であり、特に動物性たんぱく質の取りすぎと食物繊維不足です。大腸の長さの違いにもあるように、私たち日本人は、草食向きに出来ている長い腸のため、ただでさえ便がたまりがちなことに加え、急速に変化した食生活がさらに追い討ちを掛けています。

便秘の理由ワースト3

1食生活に問題あり ・・・お肉や加工食品ばかり、過剰なダイエット
2睡眠不足・運動不足 ・・不規則な生活、運動もしない怠惰な習慣
3精神的なストレス ・・・仕事場、学校、子育てなど家庭での悩み

また、大腸がんが、特に日本の女性に増えていることが大きな問題です。特に肉や加工食品ばかりとり続けると腸や体内が酸化してきます。老化を早める原因である酸化は食べ物が大きく関わってくるのです。 大腸に送られた食物のカスは煽動運動によって結腸、直腸に運ばれます。 それが直腸に達した際にその刺激が脊髄を通して大脳に伝わり、便意がもよおされる仕組みなっています。慢性的な便秘の場合、便意をがまんすることを繰り返したために直腸から脳に伝わる刺激が弱くなったりします。また、睡眠不足、運動不足や精神的なストレスなどの原因も多く見られ、便秘薬への過度な依存も良くありません。 もちろん、大腸の病気の影響も考えられますので、便に血が混じったり、激しい腹痛を伴う場合は早めに医師に相談しましょう。

腸は人の体で最大の免疫器官

先ほども記載しましたが、腸は人の生命維持にかかわる最も大切な器官で、腸の粘膜の表面積は実に全身の皮膚のおよそ200倍ともいわれています。 腸は飲食物に含まれる栄養分を吸収する一方で細菌やウイルスはその感染を防ぐため吸収せず便として体外に排出しなければなりません。従って血液中を流れるリンパ球といわれる免疫細胞の多くが腸に集まっており、それら免疫細胞が腸の粘膜やヒダに集まってバイエル版と言うリンパ組織を形成しています。また、人の体の全免疫システム全体の70%が腸に集中してと言われています。

腸内の免疫の主な働きは3つ

1腸内に入ってきたものを免疫細胞が認識
2免疫細胞が腸内に入ってきたものの無害、有害を判断
3無害なものは受け入れ、有害な場合は免疫細胞が攻撃

なぜ腸管にこれほど多くの免疫システムが集まるのでしょうか?日々、口に入れられる飲食物にも必ず多くの細菌やウイルスなどが含まれています。それらの有害物質は腸の粘膜から最も侵入しやすいとされています。また、正常な人でも毎日3,000~4,000個発生すると言われているがん細胞が生じる場所もほとんどが腸内の粘膜からといわれています。そのような病原菌や有害菌などの外敵を素早く感知し、攻撃し、排除するため、免疫細胞が24時間365日、常に腸を守り続けなければなりません。つまり腸が人の体で最大の免疫器官である理由がここにあるわけです。そしてこの腸内の免疫と腸内細菌は密接な関係をもっています。

とっても大事な腸内細菌って何?

人の腸の中には、約500種類、100兆個の細菌が住み着いています。その細菌は「腸内細菌」といわれるています。腸内細菌の種類は、乳酸菌を代表とする善玉菌と有害菌である悪玉菌が存在しますが、さらに詳しく分けると、腸内の環境状態によって「善玉菌」にも「悪玉菌」にもなったりする「日和見菌」という3種類に分類できます。 健康な人の腸内環境は善玉菌と悪玉菌それぞれが上手く保たれています。小腸から大腸にかけては、これらの腸内細菌がびっしり存在し、まるで草むら(フローラ)のようであることから、腸内フローラとも呼ばれています。腸内フローラのなかの細菌は、さまざまな働きで、人の健康に多大な影響を与えているのです。

それぞれの代表的な例をあげてみましょう。

善玉菌




悪玉菌




腸内細菌の3種類

善玉菌とは
腸内を酸性にし、病原菌をやっつけてくれたり、免疫力を高めてくれます。
食べ物の消化・吸収を促進し、ビタミン合成、腸管運動を促進などの働きをします。
・乳酸菌、ビフィズス菌など。

悪玉菌とは
腸内をアルカリ性にし、腸内を腐敗したり、発がん物資や毒素のある有害物質を作り出します。糞便・ガスの形成はもちろん体の抵抗力を弱め、下痢や便秘を引き起こします。
・ウェルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌、バクテロイデスなど。

日和見菌とは
食べ物や体調によって善玉・悪玉どちらにも傾きます。
例えば、バイテロイデスという菌は、ビタミンを合成したり、病原菌感染を防ぐという有用な働きを持つ反面、腸内の腐敗、発ガン物質の生産、腹部を膨張させるといった悪さもします。

腸内細菌の主な役割は何?

有害なものが腸に感染するのを防ぐ
腸内に住み着いて壁面を覆うことにより侵入した病原菌や有害菌の増殖を防ぎ、感染から私たちを守っています。

免疫の働きを活性化する
腸の免疫の仕組みを刺激して免疫の働きを活性化する。

消化を促進する
消化を助ける酵素を分泌して腸の働きを活発にし、消化を促進する
また、コレステロールや中性脂肪などの脂質の消化、吸収をコントロールしたり、余分な脂質の排泄を促進する

これら非常に大切な腸内細菌ですが、常に一定の状態ではなく、様々な要因で変動します。健康な状態では、善玉菌が増え、悪玉菌が減り、悪くなると勢力はその逆になります。では、悪玉菌優勢になるとなぜ人体に悪い影響を与えるのでしょうか?

腸が悪いと体調も悪い!?

日本人の腸はもともと「低脂肪・ 高繊維」の食事に適応してきたのですが、近年急速に「高脂肪・低繊維」の食事へと変化してきました。また加工食品やインスタント食品など栄養バランスの悪い食事も多く摂取するようになってきました。このように腸に入ってくるものの量・質・内容の変化により、腸内細菌のバランスに乱れが腸の免疫の乱れの大きな原因となります。また、老化、ストレス、睡眠不足、過労、抗生物質の服用等などで腸はダメージが溜まり、結果として善玉菌が減り、悪玉菌が増えるといった悪循環に陥ります。特にストレスは腸の免疫の乱れの大敵で、腸内細菌のバランスが崩れやすくなります。

そして、腸内の免疫細胞が有害物質やウイルスなどを感知できなくなり、外敵が有害なのか無害なのかの仕組みにエラーが発生したり、逆に無害なものまで攻撃してしまうという異常などが発生したりすることで免疫力は弱っていきます。
腸内免疫が乱れると次のような症状が起こりやすくなります。

下痢
有害物質の侵入に対し排除しようとする免疫反応で、通常は一時的なものですが、免疫の仕組みの異常が原因となって下痢が続くことがあります。悪玉菌が多くなることで腸内バランスが崩れ、腸のぜん動運動が乱れて起こるのです。

潰瘍性大腸炎
腸の粘膜の機能に異常が生じて、大腸の粘膜に潰瘍やびらん(ただれ)ができる病気です。原因として、これまでは細菌やウイルスの感染、アレルギーやストレス心理的な原因、体質などが考えられてきましたが、最近では、免疫異常が関係していることがわかってきました。

食物アレルギー
本来有害ではないはずの食べ物を、腸が有害だと判断するようになると、同じ食べ物が腸に入るたびに免疫の仕組みが過剰に働きます。このアレルギー反応は、腸内細菌のバランスが免疫細胞に影響して起こるとされています。また、遺伝子組み換えや農薬、抗生物質使用による食品成分の変化もアレルギー反応を起こしやすくする原因のひとつとされています。

大腸がん
腸内細菌が産生する有害な物質による粘膜への刺激が、がんを発生させることがあります。大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが食生活で、特に食物繊維不足による便秘が上げられます。なぜなら、便が長い時間腸内に留まることは腸内の腐敗を生みやすく、結果、大腸に負担がかかり、腸内環境も悪化をもたらします。実際に日本の女性のがん死亡の1位が胃がんを抜いて大腸がんになったことも注意すべき点です。

腸が元気で体も元気

このように腸内細菌は腸内の免疫に非常に大きな役割を果たしており、体に良いものと悪いものを区別し、有害なものは排除するといった仕組みは腸内の細菌によって調整されているといわれています。つまり腸内細菌のバランスが保たれることによって免疫の仕組みが正常に働くのです。

逆に細菌の中の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えると、免疫機能が低下して病魔に侵されやすくなるわけです。理想的な腸内環境は、乳酸菌などの善玉菌がおよそ90%、大腸菌などの悪玉菌が10%というバランスだと言われています。

従って、腸内細菌を健常な状態に維持することは、健康を維持していくうえでも、病気の予防や老化防止などに役立つで上でも大変重要な問題です。その為には善玉菌をできるだけ多くし、日々、腸内細菌のバランスを整えてあげる必要があるのです。「腸内細菌」が病気になると、私達も病気になるのです。 「腸内細菌」に元気でいてもらわなければ困りますよね。

まずはお気軽にご相談ください

歯にお悩みの方はお電話にてご予約お待ちしております

  • 診療時間 9:00~13:00/15:00~20:00 休診日 水曜/土曜午後/日曜/祝日06-6939-8888 contact_img01.png

※最終受付19:00まで